2005.12.14 (Wed)
娼婦のブログ本がベストセラー
ラクウェル・パチェコさんが、サンパウロで一日に五人の客をとる高級娼婦だったのは、いまからわずか二ヶ月ほど前のことでした。 現在の彼女はベストセラー作家です。テレビやラジオのトークショーにも度々出演し、多忙な毎日を送る彼女に何があったのでしょう。 日本でもブログ本が話題になっていますので、ちょっと訳してみますね。
パチェコさん――ペンネームおよびネット上のハンドルはブルーナ・サフィスティーナ(Bruna Surfistinha)――が書いた本、「The Sweet Venom of the Scorpion(蠍の毒は蜜の味)」。
21歳の女性がつづった、自らの体をお金に換えた三年間の赤裸々な日常は、一ヶ月ちょっとのうちに三版目を迎えることとなりました。 ブラジルでは読書人口が少ないのですが、それでもノンフィクション部門の三位、スティーヴン・レヴィットの書いたベストセラー「Freakonomics」に肉迫する勢いです。 中産階級のティーンのスラングをまじえて書かれたこの本は、ブラジルセックス事情の最先端を露わにすることで読者の性的興味を煽ってもいます。
もともとブラジルという国はカトリック教国でいながら性のタブーはゆるやかで、成人向けの雑誌がスタンドに並んでいたり、売春も斡旋は違法でも売春自体は合法。 またリオのカーニバルで見られるように人々はセクシャリティーな服装を好みます。 政府はエイズ対策のために若者に無料のコンドームを配布しさえします。
しかし、本がこれほどまでに売れたことは当のパチェコさん自身が一番驚いているようです。
「17歳で家出し、体をはって稼いできたなんて私の生き方そのものには興味はないんだと思うわ。 ただコールガールの日常にはみんな好奇心があるとは思ってた。 それにしてもこれほど本が売れるなんて予想はしなかったわね」。
ブログから本へ
本のもととなったのは彼女自身が作ったブログでした。
寂しさを紛らわせるために、あるいはどんよりとした日常に風穴をあけたくて書きはじめたブログ。
内容はおもに彼女を買った男性とのやりとりを記したものでしたが、幾つかの雑誌に取り上げられているうちに次第に人気が出てきました。 アクセスが増え、出版の話がもちあがります。
それでも彼女は話にすぐには飛びつきませんでした。 最終的にパンダ・ブックスという小さな出版社を選ぶまでに、三社のオファーを断ったそうです。 パンダ・ブックスが彼女を獲得できたのは、彼女のアイデアを取り入れることと彼女専用の編集者を一人雇い入れることを提示したからです。
「ブログを読んでぶっ飛んだね」 と語るのは、パンダブックスのマルセロ・デュアルテ氏。
「彼女の書いたものには全てがあったんだ。 まるで昼のテレビドラマさ。 家族ドラマ、ラブ・ストーリー、そしてたくさんのセックス描写。 もちろん男性には受けると思ったけどね、女性が列をなして買うようになるとは思わなかったよ」。
心理学者のローズリー・サヤオ氏はこう解釈します。
「娼婦というものは、ある意味女性の幻想のひとつともいえるだろう。 女性は一人を愛しながらも、たくさんの異性に愛されたいとも思っている。 大勢の人の心の中に自分を住まわせたいのだ。 そのやり方、多くの男性を虜にする方法は娼婦がいちばんよく知っている」。
「The Sweet Venom of the Scorpion」はスペインとポルトガルで映画化の話が出ています。
またお金を得たパチェコさんは、高校を卒業し大学で心理学を学びたいとも語っています。
「仕事を探したいけど、どんな目にあうかそれが心配だわ。 売春は私のなかでは「過去」でも、外から見れば「今の私」なのよ」。
(画像はパチェコさんのブログのトップ)
Bruna Surfistinha(パチェコさんのブログ)
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