2007.06.13 (Wed)
「熱くて熱くて死にそうだよ…」―全身の汗腺がない12歳の少年

―東方網―
閻魔が死者を裁くという冥途への入り口、鬼城のある四川省豊都県。
記者は8日、初夏というのに空には厚い雲がかかり、しとしととやまない小雨の降るなか、学校帰りの昆くんに会うことができました。
「熱くて熱くて死にそうだよ…」。記者と並んで歩きながらそう話す12歳の少年、昆くんの体は骨と皮ばかりのよう。おおきく口をあけて喘ぎながら、よろけるように家路をたどる少年の頭のなかには、はやく帰って服を脱ぎ、水を浴びることしかないのかもしれません。
見た目、口腔には歯が3本、そのうちの2本が牙のように長く、可愛らしい「鬼」のようにも見える昆くんは、全身の汗腺がありません。
背丈は7、8歳児に相当するでしょうか。ひどく痩せているためにより小さく見えます。眉はまばらで、歯が3本しかないほかは普通の子供と変わりませんが、頭髪のほかは全身にうぶ毛というものがなく、肌がつるつるしてます。村人は彼を、外見の牙と水から離れられないことから「竜人」と呼ぶそうです。
父親の付秀貨さんによると、家はもともと豊かなほうで家族は小さな洋館に住まい、さして不自由も感ぜずに暮らしていたそうです。昆くんが生まれたのは1995年。初めての男の子ということで家族は喜びました。しかしまもなく異変に気づきます。
赤ん坊はなぜか固く冷たい床の上に寝ころぶことを好み、抱っこをすると泣きわめきました。体温はともすれば40度を超し、医者に診せても原因がわからず、薬も注射も効きません。更に熱が上がり続け、打つ手もなく、涼ませようと日陰の床に寝かせておいたところ、赤ん坊は元気をとり戻しました。
やがて家族は原因を知るところとなります。成長しておおきな病院の医者に診せたところ、昆くんの体には汗腺がないことがわかったのです。
闘いがはじまりました。汗腺を通じて放熱することができないために彼はどこに行くのにもタオルをもって出かけます。学校などにもたらいが常備されているのは、少しでも暑さを感じた昆くんがすぐに水を浸したタオルで体を拭けるようにとの気遣いです。このほかにも昆くんは平均して日に6、7回水浴します。
また、歯が3本きり生えてこないことも昆くん、そして両親を悩ませました。医者の見たてはカルシウムが足りないとのことで、サプリをご飯にまぜて食べさせても効果はありません。わずかに生えた3本の歯も歯茎が弱く、桃を食べてさえ出血するのだそうです。
「あの子ったら、どうしても桃が食べたかったんでしょうね。こっそり隠して柔らかくなった頃に食べていたのよ。それを見て涙があふれて仕方がなかった」とは母親の言葉です。
昆くんの症名は、先天性外胚葉形成不全症(congenital ectodermal dysplasia)のうちの無汗性外胚葉形成不全症と最終的に診断がくだされました。先天的なもので、肺葉の発育不全による脳下垂体の機能不全。萎縮した表皮のなかで汗腺の発育不良に陥ったものなのだそうです。熱などに注意すれば普通の生活は送れますが、治癒は不可とのことです。
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