2007.03.20 (Tue)
脳腫瘍を患者と会話しながら摘出―初の全行程覚醒手術

―東方今報―
17日、河南省新郷市の新郷醫学院第一附院で、中国初となる清醒開顱手術―覚醒手術―意識がある患者に術中モニタリングをさせながら脳腫瘍の摘出がおこなわれました。
患者は安陽市に住む16歳の少女、貝貝さん。一年ほど前から頭痛が頻発、最初は風邪かと思っていたそうですが吐き気もともなうようになり、病院で診てもらったところ、脳に腫瘤があることがわかりました。
ただし手術費は2万元。貧しい貝貝さんの家にとって、とても払いきれる金額ではありませんでした。そこで覚醒手術という案が病院側から提示されます。つまりは手術代を免除する代わりに、覚醒手術、貝貝さん自身に術中の様子をモニタリングさせ、その模様を公表するというもの。貝貝さんならびに家族はこれを承諾し、手術がおこなわれました。
執刀したのは、新郷醫学院第一附院神経外科教授の周国勝医師以下、トロント大学附属トロント総合病院の神経外科博士二名と同麻酔科主任の二名。
まず16日夜、腫瘍がある頭部左側を剃毛された貝貝さんは、家族に不安を訴えながらもその日は早く床に就きました。明けて手術の日、朝食は摂れません。空腹をまぎらわせるため、貝貝さんは歯を磨いては時間を潰します。
手術は朝8時30分からはじまりました。
頭部固定フレームに貝貝さんの頭を固定。腫瘍のあるエリアに局所麻酔を施します。覚醒手術が目的ですので、麻酔の量や効き目は正確に見積もらねばなりません。麻酔は、カナダ籍の中国人、カナダ王室医師協会のメンバーでもある姚振海博士が役割を担いました。
これまでずっと微笑みをうかべていた貝貝さんでしたが、この麻酔の針を打たれるときだけ悲鳴をあげました。医師たちが励まします。
20分の後に貝貝さんの頭皮をめくって頭蓋をあらわにした医師団は、次に頭蓋に四ヶ所穿孔し、間を鋸でひいて四角く開口します。貝貝さんをモニタリングするのはもう一人の麻酔医、陳勝陽医師の役。このとき貝貝さんは、好奇心に充ちた表情で「鋸をひく音がする」と告げました。
続いて腫瘍部位の特定。陳勝陽医師は貝貝さんの手を握って数を数えさせました。つまりはもうひとつの術中モニタリング、脳機能を術中に調べるために電気刺激をあてて検査するのですが、これを貝貝さん自身の反応からみようという訳です。もし運動機能や言語機能のある場所を損なえば貝貝さんの握力が弱まり、言葉が発せられなくなるというもの。貝貝さんは問題なく数を数え続けました。
9時50分、腫瘤を特定。10時15分には切除を終えました。腫瘤をとり除いて隙間のあいた脳には生理食塩水を注ぎ、脳そのものがゆっくりと隙間を埋めていくのを待つそうです。陳勝陽医師が貝貝さんに「13+13は?」と訊ねると、貝貝さんは間髪をいれずに「26」と答えました。手術の様子は病院中に生中継されています。もちろん両親も食い入るように見つめています。貝貝さんが弱音を吐いたのは麻酔のときだけでした。後はずっと微笑みを絶やさずに手術を受けています。
頭蓋を閉じ、頭皮の縫合が終わると貝貝さんは自らVサインをカメラに示しました。
覚醒手術は、欧米では十数年前からおこなわれているそうですが、頭蓋を切開する開頭においては全身麻酔を施すのが通例。脳手術の全行程で覚醒手術をおこなったのは中国のみならず、世界でも初めての試みということです。
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