2006.12.23 (Sat)

中国人と日本人の素養には30年の隔たりがある(2)

●秩序を重んじる日本人
しかしながら、日本には生活に余裕と秩序があることも確かなのです。
街の緑化率はきわめて高く、東京などではどんな小さな間にも必ずといっていいほど樹や草花が植えられ、小さな花が季節によって綻びます。

●治安のよい街
東京の一般的な家屋では、普通防犯扉というものは設けられません。 たまに通りに面した一階家では、防犯のためにベランダに網を設けているところも散見されますが、二階以上の部屋で網をつけた部屋はひとつも見当たりませんでした。 これには私も非常に驚き、なぜ窃盗や不法侵入に備えないのかと訊いたものです。 日本では自転車さえも施錠なしで駐めてあることが多く、単車もチェーンなしで戸外に置きっぱなしです。

列車内や旅館、甚だしきに至ってはレストランでさえも高価なブランドバッグがそのまま置かれ、まるで盗られることなどいっさい念頭にないといったふうの日本人。
ホテルでは精算時にさえ客室を検めることがなく、まして中国にあるような備品弁償一覧表などの書き付けもありません。 われわれの一行に付き添ってくれた日本人男性が、電車内に上着を忘れたことがありましたが、これも無事次の駅に届いていました。
女性が携帯をポケットに差して歩いていても誰も気にかけず、大きなバッグを担いだ女性が、いちばん外の小物入れに財布をいれて歩いていてもまるで心配のない街、それが東京なのです。

国によって貧富の差はまちまちですが、日本にもホームレスは存在します。 私は街頭の絵描きに自分を描いてくれるよう頼みました。 値段は1,600円です。 しかし出来映えに自分で納得しなかったのでしょうか。 絵描きは、1,000円だけを受け取り、私に詫びたものです。

●整然とした渋滞
エスカレーターで上り下りする人々はキチンと左側に並び、右側は急ぐ人たちのために空けられます。 列は測ったように1メートルの間隔をもって人々が並びます。
大きな交差点で意外な体験をしました。
数百人が歩道で信号の変わるのを待っている大きな交差点なのですが、車はまったく減速しないで通り過ぎていくのです。 しかしこれはきっと一人だに交通ルールを守ろうとしない人間がいないからにほかなりません。 また赤から青に信号が変わって車が動き出すとき、最後の歩行者が渡り終えるまでじっと待つ車。 この国ではあくまでも 「人」 が基本なのです。
日本の道路はけっして広い訳ではありません。 なかにはすれ違うのもやっとの道ながら、双方向から通行できるところもたくさんあります。 高速で渋滞しても路側帯は常に空けられ、クラクションはまず聞こえてきません。

われわれが泊まったホテルでは、ホテルから離れた交差点から車を誘導され、またチェックインの際は他の団体とぶつからないように手配されました。 日本ではこうした混雑やよけいな気遣いをふせぐために、チェックインの時間を5分10分違わせて案内することもしばしばだそうです。

●深い危機意識
日本は中国でいえば、面積は四川省くらい。 人口密度ははるかに大きく、地震や台風、津波などの天災も頻繁にやってきます。 このことが日本人の危機意識を高めてもいるのでしょう。
学校では月に一度の防火演習のほか四半期に一度、地震に備えて防災訓練をします。 家庭においても非常用の備えがあり、乾パンやミネラルウォーターのボトルが常に取り置かれます。 防災というのは国家的な理念のようで、災害にあたっての心構えは統一されているかのようです。

●車社会と住宅事情
われわれはトヨタ自動車を視察したのですが、トヨタはもともと自動車メーカーではなく、創業二代目で方向転換、イギリスに技術を求め、昼夜の別なしに開発を続けていまの日本を代表する自動車メーカーになったものです。 その根底には儲けを度外視した、民族愛と日本という国の発展に寄与するという意気込みがありました。 自己を棄てて国を思う、これは日本人すべての心に在るものです。
こうして発展した車社会。 しかし日本人の多くは通勤に車を使いません。 駐車料金が怖ろしく高いためです。 現在東京で、たった15分車を駐めるだけで100円取られます。 ほとんどの日本人は車を買えますが、駐車代のために敢えて持たない人もいます。

こんなにも発展した国でありながら、日本人は小食です。 ご飯は小さな椀に一杯。 おかずはこれも小皿の底を菜でようやく隠すのみ。 こればかりは謎でした。 少なくとも私のまわりにいた日本人は、一度でいいから肉を腹一杯食べてみたいと言っていたのです。 腹七文目という健康目的の常套句も、つねに自分を危機意識のなかに置きたいという日本人の願いと言ったなら勘ぐり過ぎでしょうか。

東京の住宅が高いのは世界的にも有名です。 土地は平米60万円を割ることがなく、小さな家を建てるにも一生を費やすかもしれません。 かといって家を借りるには奇怪な風習があるのです。 それは家賃の5ヶ月分を先払いするというもの。 このなかには、敷金礼金といった家賃以外の、大家に対する御礼などもあって理解するのも難しく、これまたいつも国民に緊張感をもたせておくといった政府の陰謀かもしれず、まあ何にしても謎です。

●街の清潔さ
日本人は通りにゴミをまき散らすことは滅多にありません。 もしごみが出て近くにごみ箱がなければ、そのごみを持ち帰って家のごみ箱に棄てます。 バイキング方式のレストランでも食器は自分で片づけ、卓のうえにこぼれたスープさえ、ナプキンで拭き取ってから席を立つのです。 イヌの散歩で糞がでれば紙に包んで持ち帰り、タバコを吸う人は携帯灰皿に灰を落とします。
私はゴミの処理と文明に関連があると思っています。
第一段階は、「みだりに唾を吐く」 文明。 ごみはところ構わず放置され、あちこちやたらと唾や痰の吐かれる街。
第二段階は、「ごみを一箇所に集めて積み置く」 文明。 いまの北京はここにあたります。
第三段階は、「ごみを分別処理する」 文明。 日本では可燃物、不燃物、ビンや缶と分けて収集されます。 北京がこれから目指す段階です。
第四段階は、「精細管理」文明。 たとえば日本の主婦が醤油などのビンを棄てるときは、なかを軽く洗ってゴミに出します。 缶などは孔をひとつ穿って危険がないように処理します。 ゴミ処理場では高い煙突がありますがここから煙は出ません。 余熱は併設された運動場に供給され、冬はプールの水を温めたりといった環境保全に使われます。 日本人は人と環境との関わり合いを理解しています。

●何ごとも控えめで礼儀正しく
われわれが訪日したときは連日雨続きでした。 でも人の行き交うところ、不快な水たまりはありません。 日本では公共の場所には傘をいれるビニール袋が必ず備えられています。 バスのなかにさえ傘立てがあります。

われわれは大学を二校訪れました。 いずれの大学にも塀はなく、いかめしい門構えもなく、校名はごくごく小さな板に彫られたものでした。 トヨタ自動車もあれだけ大きな会社でありながら、本社ビルも派手さはなく、社名も小さく掲げられていました。
穏やかで礼儀正しい日本人。 つねに頭を下げるのは、己の矮小さを知り、社会に対し礼をはらうということが、彼らの資質にあらかじめ在るからなのでしょう。 自己管理能力の高さでもあります。

鑑みるに中国と日本との素養の差は30年。 追いつくことができない数字ではありません。

テーマ : 海外こぼれ話 - ジャンル : ニュース

Tags : 中国人気質 |

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