2006.11.13 (Mon)

全身を「魚鱗」でおおわれた男性

click!―雲南資訊報―
中国は雲南省の撫仙湖。 海抜1750メートルの高地にある湖で、淡水湖としては中国2番目の155mという深さがあるそうです。
澄みきった湖面より水草のたなびく様子が見てとられ、高原の爽やかさと湖水の清涼を併せ持つこの地、澄江県備楽村で魚釣りをして暮らす一人の若者がいます。 彼の名は孫成さん。 8歳の頃から湖に親しみ、10歳の頃にはすでに魚釣りで細々ながら生計をたてていた孫成さんですが、彼の名は村の四方に知られています――全身に 「魚鱗」 をもつ男として。



記者は、報せをたよりに当地に赴きました。 すでに取材がおこなわれることを聞いていたらしい子供たちが、記者の道案内を申し出ます。 「びっくりしないでね」。 いくぶん期待と子供らしい残酷さの入り混じったその表情も、帽子を目深にかぶり湖の方に顔を向けて座っている青年の近くまで寄ると、すっと潮がひくように怖れの色に支配されました。

背はどちらかというと小柄で色白な男性が記者の呼びかけに振り向くと、子供たちの怖れた理由がわかりました。 顔は唇をのぞいてほぼ全面、角質で覆われ、見ているうちにも口元の乾燥した皮膚が破れ、血色が滲んできます。 上下の目蓋は痙攣してこわばり、見たところ、鱗状の角質は首から下、手に足にと全身におよんでいるようです。

記者は孫成と名乗るこの男性に許しを請い、全身を見せてもらいました。 全身を覆っている角質はきめ細かく、触った感じといえばまるで象の皮膚のよう。 大方は灰色ですが、足の角質は暗赤色。 驚いたことには足の裏、土踏まずにも角質は続き、左足の親指は欠損しています。 角質がいちばん厚いのは額で、これは本人いわくいちばん剥がしやすいゆえにいつのまにか分厚くなったとのことです。

孫成さんの幼少の記憶は、苛めと嘲笑とに彩られていました。
孫成さんが思い出す最も古い記憶は、村の子供たちが家の外で彼の名を呼んだことにはじまるそうです。 初めて同い年の子らに名を呼ばれ、いそいそと外に飛び出した孫成さんは、子供たちに囲まれ、じろじろと眺められて帽子を飛ばされ、笑われ、近づこうとすると棒で打たれました。 泣きはしませんでした。 自分は他人とはちがっていることは薄々感じていたそうです。 しかし辛さゆえ、以降積極的に交わろうとはしませんでした。
部屋に籠もりがちになり、道端で遊ぶも人影が見えるとすぐに家に駆け込む毎日。 外に出るときには夏でも肌が隠れるものを着、家にもどるとあまりの痒さで全身を血が流れるままに掻きむしったそうです。

就学の年齢となり、母親に連れられた孫成さんは入学申請で学校に行きました。 しかし担当の女性が他の児童が怖がるからと孫成さんを拒絶。 ために現在でも字は読めず、自分の名前さえ書くことは出来ないそうです。 もちろん両親はあらゆる病院に孫成さんを診せにいきましたが、原因はまったくわからず、また都市の病院に行くにはお金がありません。
母親は孫成さんに腕時計を買ってあげ、彼が欲しがっていた釣り竿を与えて毎日自転車に乗せて、この湖、撫仙湖に連れていったそうです。 そこで彼は泳ぎと魚釣りを覚えました。

水辺にいるときがいちばんの解放感を感じるという孫成さん。 今では数少ない友人とたまに夜の湖畔でビールを飲んで酔うこともあるそうです。 しかし夏場の盛りは、水にはいってもその後の皮膚のひび割れが凄まじく、訪れられないことも多いとか。 アイドルの写真をいっぱいに貼った部屋で枕許のMP3プレーヤーで音楽を聴きながら床にはいる孫成さんですが、目を閉じると目蓋がひっつれて痛く、将来のことも考えては悶々としながら、朝方になってようやく眠りにつく昨今だといいます。

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