--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 | EDIT

2006.06.30 (Fri)

ティナ・スモール物語(8)

60630a1.jpgとはいえ、私と母、二人でロンドンに行くほどの余裕はなく、病院へは当時12歳の私一人で訪れなければなりませんでした。
私は母から列車の切符とお弁当、それに病院に近いパディントン駅からのタクシー代を受けとりました。 パディントン駅から病院までは地下鉄という選択肢もあったのですが、母は私を大都市の地下鉄には乗せたくなかったようです。

幼い私には冒険のように思えたロンドンへの旅は、列車の窓を過ぎる単調な風景のくり返しにも飽きると、退屈なものでした。 私の胸に注がれる不躾な視線や小声で囁かれるジョークも普段と変わりのないものした。 ところがロンドンに到着して初めて大都会の光景を目の当たりにすると、私が住んでいる小さな村とは何もかもが異なり、圧倒されました。 まず第一に車のスピードがちがいます。 街を歩く何千人という人々はまるで競走をしているかのよう。 それにあらゆるフラグメントが街を埋め尽くしていました。 黒人、白人、有色人種といった肌の色、身なりのいい人々にみすぼらしい格好をした人々、背の高い人と低い人、そしてありとあらゆる容貌をもった人々が闊歩する都会。 列車から降り立った私は、暫し興奮しながら行き交う人々を眺めていたことを思い出します。

駅からタクシーに乗って病院の名を告げると、車はロンドン市内を猛スピードで駆け抜け、初めて見るテムズ川を渡り、ほどなく到着しました。 迷った末にフロントで訪ねるとカードを渡されます。 そのカードを手に婦人科の待合いに行った私は、いったんは看護婦に妊婦とまちがわれたりしましたが、なんとか担当の先生の部屋までたどり着くことができました。
ドアを開けてフロントで渡されたカードを見せると、まだ若そうな先生は、「やあ、待ってたよ。 座りたまえ。 それでどんな具合かな? スモールさん」 と私を出迎えたものです。

医者と言えば村のテルピロスキー先生にしか診てもらったことがない私は、大都市の病院に勤める先生が若いことにおどろいたのですが、彼は紳士的でまさしくプロフェッショナルでした。
「そうだね、紹介状があって君の症例を調べていたんだが、いいかね、スモールさん。 君の症状は 『思春期乳腺肥大症(Virginal Hypertrophy)』 とよばれるものだ。 できるだけ易しくいうよ。 つまり、体内脂肪の新陳代謝をつかさどるホルモンバランスが偏っているせいで、君が食事から摂った脂肪が乳腺組織、おっぱいに吸い取られてしまうのだ。 もちろん生命に別状はないし、健康上ほかに影響がある病気ではない。 同じような病気で、腿が太くなる女性もいればお尻が大きくなる女性もいる。 君の場合は脂肪が胸に集まってしまうというだけだよ。 そうだなあ、君が短距離やハイジャンプの選手を目指しているというならご愁傷様というところだけど、そうでなければ普段の生活には何の支障もない。 もちろん形成手術で胸を小さくすることは可能だ。 君が望めばね。 ほかに質問はあるかい?」。

質問を考えつかなかった私は先生に礼を言い、医務室を出て病院をあとにしました。 12歳の私に理解できたのはたまさかの病気であって、畸形ではないということでしたが、それでもその時まで不安に駆られ、胸につかえていたものがスッと消えたことを憶えています。
自信を取りもどした私は、母との約束を破って帰りは地下鉄に乗ってパディントン駅に向かうことにしました。 なんといっても地面の下を走る列車なんて、田舎住まいの私には興味津々だったのです。 ところがここで私はトラブルに巻き込まれることになるのです。


ティナ・スモール物語(7) / ティナ・スモール物語(9)

テーマ : 海外こぼれ話 - ジャンル : ニュース

boob celebrities | EDIT


 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。